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札幌地方裁判所室蘭支部 昭和42年(わ)184号 判決

主文

被告人を禁錮一〇月および罰金二、〇〇〇円に処する。

被告人において右の罰金を完納し得ないときは、金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間、右禁錮刑の執行を猶予する。

道路運送車両法違反、自動車損害賠償保障法違反の点について、被告人は無罪。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大型自動車の運転免許を有し、自動車運転業務に従事していたものであるが、

第一、昭和四二年一〇月二〇日午前九時四〇分過頃、普通貨物自動車(室四ふ一七八〇号)を運転して道道伊達=洞爺線上を壮瞥町方向から伊達町方向に向け、時速約七〇粁で進行しながら有珠郡伊達町字上長和二六六番地先路上にさしかかった際、自車の進路約一〇〇米前方の道路右側に水越智彦(当時四年)が道路左側を向いて佇立しているのを認め、同人の左側を通過しようとしたのであるが、このような場合自動車の運転者としては、幼児は思慮が浅いまま自らの危険を顧みずに道路の横断をするなど不測の行動に出ることを予想し、あらかじめ警音器を吹鳴して自車の接近を知らせるとともに幼児の挙動に注視しながら徐行して進行しもって幼児との衝突事故を回避すべき業務上の注意義務があるにもかかわらず、被告人はこれを怠り、漫然前記高速度のまま接近した過失により、同児の至近距離にいたってから、同児が道路右側から左斜方向に向け走りながら横断しようとしたのを見て急停止の措置をとったが間に合わず、自車前部を同人に激突させて約一二米前方にはね飛ばし、よって同人に対し上部頸椎脱臼骨折、延髄麻痺の傷害により即死するにいたらしめた。

第二、昭和四二年七月一二日頃、従前の住所である江差郡江差町字新地町三二番地から虻田郡虻田町字洞爺湖温泉町一番地ホテル大東方に住所を変更し、ついで同年九月四日同町字洞爺湖温泉町二七番地亀屋旅館に住所を変更したのであるから、すみやかに新住所地を管轄する北海道公安委員会に住所の変更を届け出て運転免許証にその旨の記載を受けなければならないのに、同年一〇月二〇日にいたるまで右の届出をしなかった

ものである。

(証拠の標目)≪省略≫

(法律の適用)

被告人の判示第一の所為は刑法第二一一条前段、罰金等臨時措置法第二条、第三条に、判示第二の所為は道路交通法第九四条第一項、第一二一条第一項第九号に該当するので、判示第一の罪の刑については禁錮刑を選択したうえ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第一項により判示第一の罪に対する禁錮刑と判示第二の罪に対する罰金刑とを併科することとし、所定刑期および金額の範囲内で被告人を禁錮一〇月および罰金二、〇〇〇円に処し、刑法第一八条により被告人において右の罰金を完納し得ないときは金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法第二五条第一項第一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右禁錮刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項但書を適用して全部被告人に負担させないことにする。

(一部無罪)

被告人に対する道路運送車両法違反ならびに自動車損害賠償保障法違反の罪の公訴事実の要旨は、

「被告人は、法定の除外事由がないのに、前示有珠郡伊達町字上長和二六六番地先道路において、自動車検査証ならびに自動車損害賠償責任保険証明書をいずれも備付けないで、前示普通貨物自動車(室四ふ一七八〇号)を運転したものである。」

というにあり、右の行為は道路運送車両法第六六条第一項、第一〇九条第六号、自動車損害賠償保障法第八条、第八八条に該当する、というのである。

ところで、≪証拠省略≫を総合すると、前掲公訴事実に該当する外形的事実はこれを認め得るのであるが、被告人において右の備付義務違反におよんだいきさつは次のとおりであることが認められる。すなわち前記自動車については昭和四二年一〇月三一日付をもって、北海道知事から被告人の使用主である亀屋旅館の主人亀田ナカに対し、同人を使用者名義とし、有効期間を昭和四二年一〇月三〇日までとする自動車検査証が交付されており、更に、同人が日新火災海上保険株式会社との間に昭和四一年一〇月三一日から昭和四二年一一月三〇日迄を保険期間とする自動車損害賠償責任保険契約を締結していたことにより、同会社から同人宛に自動車損害賠償責任保険証明書が交付されていたものであり、右の各証明書は、亀田ナカの息子で前記旅館の経営に従事し、日頃前記自動車を使用していた柴田良治が、常に前記自動車の運転席の物入れに格納して同自動車に備付けていたのであるが、たまたま本件事故に先立って右自動車の修理を修理工場に依頼したところ、右工場の従業員が修理を完了して右自動車を前記旅館に持参した際、柴田が不在であったために自動車検査証、自動車損害賠償責任保険証明書を前記自動車から取り出して同旅館の女子従業員に大事なものだといって手渡したため、事情を知らない右の従業員がこれを同旅館の金庫にしまいこんでしまい、しかも右の事情を柴田に告げるのを怠っていたので、同人においても、右のようにして前記各証明書が前記自動車から取り出されたことを知らずに、日頃と同じように前記自動車に備付けられているものと思い込んでいたもので、また被告人においても、日頃柴田が前記各証明書を前記自動車の運転席の物入れに備付けていたことを知っていたうえに、前示のいきさつにより各証明書が前記自動車から取り出されていることは知らなかったところから、本件事故当日も、当然日頃のように右各証明書が前記自動車に備付けられているものと思いこみ、運転開始前に前記各証明書が実際に備付けられていることを確認もせぬまま運転を開始し、本件事故が発生した後においてはじめて前記各証明書が前記自動車内に備え付けられていなかったことに気付くまで、右の各証明書の備付義務に違反している事実の認識がなかったものである。おおよそ以上の事実が認められるのであり、右の認定を左右するに足る証拠は全く存しない。

右に認定した事実にてらすと、本件起訴にかかる被告人の道路運送車両法違反ならびに自動車損害賠償保障法違反の各行為について被告人の故意責任を認めるに足る証拠はないというべきことは明らかである。

ところが、検察官は、道路運送車両法第六六条、第一〇九条第六号、自動車損害賠償保障法第八条、第八八条の各規定(以下本件の各規定と総称する。)は、過失によって右規定に違反した者をも処罰する趣旨の規定であると主張し、前示の事実関係のもとでは、被告人は、前記自動車の運転を開始するに際して自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書が適法に備付けられていることを確認すべき義務あるのにこれを怠った過失により前掲公訴事実摘示の行為に及んだものというべきであるから、なお右の各規定の適用を免れ得ないとして、被告人の処罰を求めるのである。

ところで、前掲道路運送車両法第六六条第一項は、「自動車は、自動車検査証を備付け、かつ運輸省令で定めるところにより、検査標章を表示しなければ運行の用に供してはならない。但し第三四条に規定する臨時運行の許可を受けた自動車については、この限りではない」と規定して行政庁から臨時運行の許可を得た自動車を除くその余の自動車の運行供用者に対し自動車検査証を備え付ける義務を、同法第一〇九条第六号は「第六六条の規定に違反して自動車検査証を備え付けず、又は検査標章を表示しないで自動車を運行の用に供した者」を三万円以下の罰金に処するとして右義務違反に対する刑罰の制裁を、自動車損害賠償保障法第八条は「自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。」として自動車の運行供用者に対して自動車損害賠償責任保険証明書の備付義務を、同法第八八条は右第八条の規定に違反した者を三万円以下の罰金に処するとして右の義務違反に対する刑罰の制裁を、それぞれ規定しているところ、右の各法とも、過失によって前示の自動車検査証備付義務ないし自動車損害賠償責任保険証明書備付義務に違反した者を処罰する旨の明文の規定を欠いていることは、前掲の各規定の文体に照らして明らかである。してみると、一般に過失犯については、刑法第三八条第一項が適用されることにより、その処罰については「特別の規定」を要するとされているのであるから、前示のように明文の処罰規定のない、過失による自動車検査証備付義務違反ないし過失による自動車損害賠償責任保険証明書備付義務違反の行為については、当該法規の趣旨、目的等を合理的に判断した結果、当該規定の解釈上、過失犯を処罰することが疑義を許さぬ程度に明確であり、もって過失犯処罰の特別の規定がある場合と法律上同一に評価し得る場合でなければ、その処罰をなし得ないものといわなければならない。しかも、行政刑罰法規は、一般刑罰法規に比して、制裁の内容が軽いものが多いとはいえ、なお刑罰をその制裁手段としているし、またその性質上、一般刑罰法規よりも、国民の日常生活に広範なかかわりを持つ側面もあることを考えると、前示の解釈の基準については厳格性が要求されるというべきで、行政目的の達成ないし取締目的の実現という合目的な観点からその処罰の範囲を拡張することは慎重になされなければならないと考える。

ところで、右のような原則的な観点にたって本件の各規定を検討すると、以下のとおり本件の各規定が過失犯を処罰する趣旨であると解釈するについては、多分の疑義を抱かしめる点が存するのである。

その一は、過失による運転免許証不携帯の罪について道路交通法第九五条第二項、第一二〇条第一項第九号、第二項には過失犯を処罰する明文の規定が存することである。すなわち、右の道路交通法の諸規定は、自動車の運転者に運転免許証を常時携帯すべき義務を課しているもので、本件の諸規定とは、その規制対象こそ異にするとはいえ、現行法体系のもとで自動車を運行の用に供する者が等しく携行を義務付けられる証明書類に関する規定であり、かついずれも交通取締官の警察目的に奉仕し、ひいて道路交通の安全に資することを目的とする規定である点において、いわば本件の各規定と同種の規定であるということができる。このように、同一の社会現象―この場合においては自動車の運行―を規制する同種の行政刑罰法規の一方に過失犯を処罰する明文の規定があり、他方にその明文を欠く場合には、反対解釈により後者の刑罰法規においては過失犯を処罰しない趣旨に解釈し得る余地を与えることは一般的にもいえることである。しかも、前掲道路交通法の諸規定は、旧道路交通取締法(昭和二二年法律第一三〇号)第九条第三項および九条の二第三項に定める運転免許証または運転許可証の不携帯罪については過失犯を処罰する明文の規定がなかったため、右の法意を過失により運転免許証を携帯しないものを包含する趣旨と解すべきか否かの問題について、積極・消極両説が対立し、実務上の支障を来たしたところから、右道路交通取締法を改正して現行道路交通法(昭和三五年法第一〇五号)を制定するに際し、前示の疑義を立法上一掃するために制定されたという立法の沿革が存するといわれるのであるから、もし立法者において、本件の各規定が定める自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書の各備付義務に過失によって違反した者をも処罰する意思を有していたのであれば、前記道路交通法の立法当時、運転免許証と同種の目的をもって自動車の運行供用者に備付義務が課されている前掲各証明書についても過失犯を処罰する明文の規定を新設し、もって前示過失による運転免許証不携帯罪の成否をめぐって生じた取扱上の疑義が、右と同種の本件の各規定の解釈をめぐっても繰返される混乱を防止しようとしたことは容易に考えられるのであり、また右のような観点にたつ限り、道路交通法の制定にともなって関連諸法規を整備するに際し本件の各規定を過失犯をも処罰する趣旨の明文を有するものに改正することは容易であった筈である。

それなのに、右の道路交通法の制定の際およびその後の道路運送車両法および自動車損害賠償保障法自体の数次にわたる改正の際にも、本件の各規定については前示の運転免許証不携帯罪と異なり、いまだに過失犯を処罰する趣旨の規定が付加されていないのであるから、このような経緯を客観的に観察すると過失によって本件各規定に違反した者に対する立法者の意思は、過失によって運転免許証の携帯義務に違反した者に対する場合と異なり、これを処罰しないものと解釈する余地が十分にあるといわなければならないのである。

自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書は、前示のように運転免許証と同じく自動車の運行供用者がその運行に際して常時携行しなければならない証明書類ではあるけれども、本件の各規定は、右の携行が自動車に「備え付け」る行為によってなされるべきことを要求している点で、運転免許証について「携帯」を要求する前記道路交通法の規定と異なっている。自動車検査証、自動車損害賠償責任保険証明書は、被検査車両、被保険車両という一定の場所に閲覧可能な状態におかれることにより、備え付けが済んだのちにおいては、紛失等によって備え付けを欠く状態になることは、行為の性質上それほど多く予想されるところではない。ことに、後述のように、右の備付義務が運行供用者に普及した場合においてはなおさらである。

常時自動車運転者が身辺に携行することにより、紛失、忘失等の可能性を含み、これを防止するために所持の確認について絶えず注意を払うことが要求される携帯行為とは、行為の刑事学的な類型を異にするとも考えられるのであり、このような行為の相違および運転者の身許確認等の警察目的にてらし運転免許証が本件の各証明書に比して相対的な重要性を有すること等を考えると、前示のように立法者が過失による運転免許証の携帯義務違反と過失による本件各証明書の備付義務違反の行為とでその制裁の要否に関する態度を異にしていると解することは一概に不合理と言い切ることは出来ないであろう。

第二に、そもそも自動車検査証については、旧道路運送法(昭和二二年法律第一九一号)においてもその第五四条第三項で備付義務が規定されていたところ、右の法律はその第六〇条第一項第一号において、故意に右備付義務に違反した者を三ヶ月以下の懲役又は一、〇〇〇円以下の罰金に処する旨を規定するとともに、同条第二項において過失により右備付義務に違反した者は拘留又は科料に処する旨を規定し、備付義務違反の過失犯処罰に関する明文の規定を有していたものである。ところが、昭和二六年に右の道路運送法が解体され、現行の道路運送法(昭和二六年法律第一八三号)ならびに道路運送車両法(同年法律第一八五号)とにそれぞれ整備された際、右の道路運送車両法においては、旧道路運送法同様自動車の運行供用者に対して自動車検査証の備付義務を課し、右義務に違反した者に対する罰則をも前示のように設けながら、過失によって右の義務に違反した者をも処罰する趣旨の前示旧道路運送法の明文の規定は、これを削除してしまったのである。このように過失犯処罰の明文規定を削除したことについて当時の立法者の意図は、右の過失犯が軽微な犯罪であることを理由に、刑罰による制裁を加えるよりはむしろ行政指導によらしめることにあったともいわれている。右の見解を別にしても、一般的に改正前の法律に過失犯処罰の規定がありながら、法改正作業によりその規定が削除されたことは、立法者が削除した罰条に該当する過失犯について処罰しない意思を示したものと解し得るというべきで、この点のみをもってしても、現行道路運送車両法第六六条、第一〇九条第六号は、過失によって右の規定に違反した者を処罰する趣旨を含まないと解する余地があるといわなければならない。

もちろん、右のように本件の各規定のうち道路運送車両法の部分が過失犯を処罰する趣旨を含まないと解させる事由は、単に自動車検査証の備付義務違反に関する規定のみならず、同種の規定である自動車損害賠償責任保険証明書の備付義務違反に関する規定についても、過失犯を処罰する趣旨を含まないと類推させる事由となるのである。

第三に、本件の各規定の構成要件に該当する行為それ自体を考えて見ると、現在では、自動車の運行供用者にとって、自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けなければ自動車を運行の用に供し得ないことは半ば常識化されてきているといえるので、本件の各規定にいう自動車検査証ならびに自動車損害賠償責任保険証明書の備付義務に違反する行為は、行為者の過失による場合が多いことは容易に想像し得るのである。しかし、右のように自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書の備え付けが常識化したことは、本件の各規定がその罰則によって、法律の無視ないし法律の不知にもとずく故意による備付義務違反の行為に対する制裁を明らかにし、右規定の趣旨が行政取締等によって自動車の運行供用者間に周知徹底された結果であると解し得るのであるから、前示のように現在自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書の各備付義務違反行為が過失によることが多いとしても、そのことからただちに本件の諸規定が規制の対象としている行為の刑事学的類型が立法当時からもっぱら過失による前示各証明書の備付義務違反行為にあったものと解することはできないし、同時にまた過失による前示各証明書の備付義務違反行為を取締の対象としなければ本件各規定の行政刑罰法規としての使命が失なわれてしまうものとも解し難いのである。

最後に、本件の各規定違反の罪は、正規の自動車検査証ならびに自動車損害賠償責任保険証明書の交付を受けている自動車の運行供用者が備付義務に違反した場合にのみ成立するものであるところ、右の備付義務を、一般に禁止されている自動車の運行を行政庁の処分によって許可される利益を得た運行供用者が行政庁に対して負担する積極的協力義務と解することにより、本件の各規定が条理上過失犯を処罰する趣旨を含むと解することも十分に考えられる。しかし、道路運送車両法および自動車損害賠償保障法は、それぞれの立法目的にてらし本来なら本件の各規定にいう備付義務違反の行為よりも厳しく規制して然るべき行為、すなわちたとえば自動車検査証の交付を受けずに自動車を運行の用に供してはならない旨の規定(道路運送車両法第八条、第一〇八条第一項)、自動車損害賠償保障責任保険契約が締結されている自動車でなければ運行の用に供してはならない旨の規定(自動車損害賠償保障法第五条、第八七条第一号)に過失によって違反した者―これらの者について前述の積極的協力義務を論ずる余地はないであろう―を処罰する旨の規定を置いていないことを考えると、前示の論拠により過失によって本件の各規定に違反した者のみを処罰することは、他の規定に過失によって違反しながら処罰し得ない者があることにてらし、均衡を失するおそれがあるといえるので、前示の論拠も採用し難いのである。

以上を要するに、本件の各規定は、いずれも構成要件が形式的な行為を捉えており、その法定刑がいずれも三万円以下の罰金に限られていることなどの点はあるにしても、その制定の沿革ならびに関連諸法規との関係を考慮しながら観察すると、過失犯を処罰の対象としているものと解するには疑義を抱く余地があるというべきであるから、前示のように行政刑罰法規が罪刑法定主義の支配を受けることを勘案すると、過失によって自動車検査証および自動車損害賠償責任保険証明書の備付義務に違反した者を本件の各規定によって処罰することはできないといわざるを得ないのである。

してみると、前掲道路運送車両法違反ならびに自動車損害賠償保障法違反の点については、前示のように被告人の故意責任を認めるに足る証拠はなく、過失による被告人の前示行為は罪とならないことに帰するから、公訴事実は全体として有罪の証明がないことに帰するので、刑事訴訟法第三三六条により無罪の言渡をすることにする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 守屋克彦)

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